日立製作所とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)が、革新的な技術実証で大きな一歩を踏み出しました。両社は、NTTグループが推進する次世代光通信基盤「IOWN APN」を用いて、600km以上の長距離間におけるリアルタイムなデータ同期の実証実験に世界で初めて成功したのです。
実証実験の概要
この画期的な実験では、日立製作所の分散ストレージ仮想統合技術「Hitachi Virtual Storage Platform One Block(VSP One Block)」とIOWN APNを組み合わせて使用しました。東京・大阪間を想定した600km離れた環境を仮想的に構築し、日立の「Global Active Device(GAD)」機能を使ってデータ同期に要する時間を測定しました。
驚異的な結果
実験の結果は驚くべきものでした。往復応答時間が書き込み時で7.5ミリ秒、読み込み時で0.1ミリ秒以下という、日立が推奨する20ミリ秒以内を大きく下回る低遅延性が確認されたのです。これは、IOWN APNの低遅延や低ジッタの特性を最大限に活かした結果と言えるでしょう。
災害時のシステム復旧も検証
さらに、この実験では災害時のシステム復旧についても検証が行われました。メインサイトで疑似的に障害を発生させてシステムをダウンさせても、バックアップサイトで業務を継続できることが確認されました。データを損失させることなく自動的にバックアップサイトのシステムを稼働させることに成功し、災害時のビジネス継続性の向上が実証されました。
技術の意義と今後の展望
この技術の実用化により、広域に分散するデータセンター間でのリアルタイム性の高いデータ処理や、災害時の迅速なバックアップサイト立ち上げが可能になります[3]。これは、金融機関や社会インフラ事業者、クラウド事業者にとって非常に有益な技術となるでしょう。
また、この技術の適用により、システム復旧作業の自動化によるSEの負担軽減、ストレージ容量の削減によるITインフラの維持コストや消費電力の低減なども期待できます。
日立製作所とNTT Comは、今後この技術を活用した次世代ITインフラシステムの提供を目指すとしています。環境にやさしく、レジリエントな社会の実現に向けて、両社の取り組みが注目されます。
この画期的な技術実証は、日本の技術力の高さを示すとともに、今後のデータセンター運用や災害対策に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。IOWNの実用化に向けた重要な一歩として、今後の展開が楽しみです。
情報源
日立とNTT Com、IOWNにより600km超のリアルタイムデータ同期の実証に成功
世界初、日立とNTT Comがストレージ仮想化技術とIOWN APNを用いて、600kmを超える長距離間のリアルタイムデータ同期の共同実証に成功
ストレージ仮想化技術とIOWN APNを用いて600km間でデータを常時同期 日立、NTT Com