出光興産、全個体電池製造に一歩前進

出光興産、全個体電池製造に一歩前進

出光興産が全固体電池製造に向けて大きな一歩を踏み出しました。同社は2027〜2028年の全固体電池実用化を目指し、固体電解質の大型パイロット装置の基本設計を開始したことを発表しました。

目次

全固体電池の可能性

全固体電池は次世代の電池技術として注目を集めています。従来の液体電解質を使用したリチウムイオン電池と比較して、次のような利点があります。

  • 急速充電時間の短縮
  • 出力の向上
  • 高電圧・高温への耐性
  • エネルギー密度の向上
  • 長寿命化

これらの特徴により、全固体電池を搭載した電気自動車(EV)は、航続距離の延長や充電時間の大幅な短縮が期待されています。

出光興産の取り組み

出光興産は全固体電池の核心部品である固体電解質の開発に注力しています。同社の強みは以下の点にあります。

  1. 石油精製で得られる硫黄化合物から固体電解質まで一貫で製造できる技術とバリューチェーン
  2. 30年以上にわたる固体電解質の研究開発の歴史

同社は千葉県で小型実証設備を稼働させ、量産技術の開発とサンプル供給を行ってきました。今回発表された大型パイロット装置は、年間数百トンの生産能力を持つ世界トップクラスの規模となる予定です。

トヨタ自動車との協業

2023年10月、出光興産はトヨタ自動車との協業を発表しました。この協業により、2027〜2028年に全固体電池を搭載したEVの実用化を目指しています。出光興産が製造する固体電解質は、トヨタが開発するEV向け全固体電池で使用される計画です。

今後の展望

出光興産は2025年中に最終投資決定を行い、2027年の大型パイロット装置完工を目指しています。また、固体電解質の原料となる硫化リチウムの製造能力強化にも取り組んでおり、原料から製品まで一貫したサプライチェーンの構築を進めています。

この取り組みは、出光興産が掲げる2030年ビジョン「責任ある変革者」の一環であり、脱炭素社会の実現に向けた重要な一歩となります。

全固体電池の実用化は、EVの性能向上と普及拡大に大きく貢献すると期待されています。出光興産の技術力と生産能力が、日本の自動車産業の競争力強化に寄与することが期待されます。

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