みなさん、合成燃料ってご存じですか?水と空気から石油ができるってことです。そんな不思議そうなことができる世の中になってきました。それでは合成燃料開発の取り組みについて解説していきます。
目次
ENEOSが挑む次世代燃料 – CO2を原料とした合成燃料の開発
実はこの合成燃料はENEOSが脱炭素社会の実現に向けて取り組みを進めています。空気中のCO2が活用できるんです。そのためカーボンニュートラルにも影響してくる技術なんです。
合成燃料とは
合成燃料は、CO2と水素を原料として人工的に作られる液体燃料です。ENEOSが開発中の合成燃料は、以下の特徴を持ちます。
- CO2と再生可能エネルギー由来の水素から製造
- 既存の石油製品と同様に使用可能
- 製品ライフサイクル全体でCO2排出量を抑制
開発の現状
ENEOSは2022年9月、横浜市の中央技術研究所内に日本初となる合成燃料の一貫製造実証プラントを完成させました。このプラントでは、以下のプロセスで合成燃料を製造します。
- CO2と水素を原料として使用
- FT合成と呼ばれる技術で合成粗油を生成
- 合成粗油から各種燃料(ガソリン、軽油、ジェット燃料など)を精製
合成燃料のメリット
ENEOSが開発中の合成燃料には、以下のようなメリットがあります。
- CO2排出の抑制
- 従来燃料と同様の使い勝手
- 既存設備の活用が可能
- 国内での原料調達・大量生産の可能性
今後の展望
ENEOSは段階的にプラントの規模を拡大し、2040年頃の商用化を目指しています。また、東芝エネルギーシステムズとも提携し、CO2電解技術を用いた新たな合成燃料製造プロセスの事業性評価も進めています。
ENEOSの合成燃料の商用化に向けた計画は以下の通りです:
- 2025年度
- 2028年度
- 最終的な目標として、2040年頃の商用化を目指しています。
- この計画は、経済産業省が描いているロードマップとも一致しています。経済産業省は2030年までに効率的で大規模な製造技術を確立し、2040年までに商用化を目指すビジョンを示しています。
- 現在ENEOSは、生成反応工程の性能向上によるコスト削減や、効率的に燃料を製造できる触媒とそのプロセスの開発などに取り組んでいます。
- 2024年9月には、横浜市の中央技術研究所内に日本初となる合成燃料の一貫製造実証プラントを完成させ、本格稼働を開始しました。
- この実証プラントの製造規模は日量1バレルですが、2040年度をめどにつくる商用プラントでは1万バレルにまで規模を拡大させる計画です。
このように、ENEOSは段階的に技術開発と規模拡大を進めながら、2040年頃の商用化を目指して取り組んでいます。
まとめ
ENEOSの合成燃料開発は、脱炭素社会の実現に向けた重要な取り組みの一つです。既存のインフラを活用しながら、CO2排出量を大幅に削減できる可能性を秘めています。今後の技術開発と実用化に向けた動向に注目が集まります。
コメント